古い日記を開いて

古い日記を開いて

そっと呟く

君は覚えているかな

きっと忘れているだろう

忘れっぽい君のことだから


一緒に並んで帰ったこと

二人で夕日を眺めたこと

三日月の下で語り合ったこと

昨日のことのように

鮮明に思い出せるのに


共に笑い合えていた

あの頃が懐かしくて涙こぼれた


部屋で独り

思い出に浸るふりをする

頭の中の出来事を綴った

架空の思い出日記を抱いて

たぶん君は

「たぶん君は

難しく考えすぎているだけ

世界はもっと単純で幸福」


誰かに投げかけられた言葉が

脳裏を掠めるけれど

マイナス方向に向かって

今日も頭は勝手に走り続ける


他人の言葉で止められるなら

とうの昔に止めている

こんな生産性のない思考

望んで走らせているわけないだろ

静寂に包まれた夜

静寂に包まれた夜

思い出すのは過ぎし日の景色

光輝くあの夏に

もう一度帰ることができたなら


デフォルメされた過去の記憶が

「昔は良かった」なんて言葉を創る

あの頃は幸福なんて

微塵も感じていなかったのに


静寂に包まれた夜

思い出すのは過ぎし日の景色

光輝くあの夏に

もう一度帰ることができたとしても

その延長線上に居るのは

きっと今の自分と変わらない

過去を懐かしむちっぽけな自分